EPAの基礎知識
目次
EPAって何ですか。
EPAとは、Economic Partnership Agreementの略で、「経済連携協定」と呼ばれています。
日本では、2002年シンガポールと協定が結ばれ発効したのが最初です。その後、2019年8月現在で17の協定が発効されています。
当初は、2国間の協定が主でしたが、最新の2つの協定であるCPTPP(略してTPP11)や日EU協定は、多国間との協定で、メガEPAと呼ばれています。
これらのEPAでは、締約国間での貿易がスムーズに行われるよう協定が行われ、また、関税の撤廃若しくは、撤廃に向けてのスケジュールがたてられます。例えば、EUからのワインの輸入の場合、関税が撤廃されるとか、チーズについては、何年かかけて段階的に関税が削減され最終的に撤廃されるというような取り決めがされています。
このように関税が引き下げられることにより、締約国とは、有利に貿易取引をすることが可能になるのです。
もっとも、貿易の世界だけではなく、さらに投資や知的財産の保護、政府調達、電子商取引、人の交流など広い分野で取り決めがされています。
なお、FTA(Free Trade Agreement)との違いは何かと考えられている方も多いと思います。
FTAは、自由貿易に関する取り決めの協定で、EPAは、それよりも広い範囲の協定と説明されることもありますが、両者は、実質的には、差がないと考えられます。
我が国のEPAの締約状況
日本のEPAの状況(2022年5月現在)は以下の通りです。
- TPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定:CPTPP)
- カナダ、オーストラリア、シンガポール、チリ、日本、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナム、ペルー、マレーシア、メキシコの計11か国が交渉に参加。
EPA活用のためには、どのような知識が必要でしょうか。
多く分けて3つの知識が必要になります。
1.EPAを理解するための前提となる知識
いきなり、EPAの規則を読んでもなかなかわかりにくいと思います。これ理解するためには、前提となる知識が必要です。
- 貿易実務に対する体系的な知識
- 通関に対する体系的な知識
- 関税に対する体系的な知識
2.EPAの規則に関する知識
EPAを利用するためにそれぞれの規則を理解するために必要な知識です。
- 原産地規則についての体系的な知識
- 原産地手続についての体系的な知識
- 事後調査に関する体系的な知識
3.EPA活用に必要な知識
実際にEPA活用戦略を立案するために必要な知識です。
- 貿易マーケテイングの知識
- サプライチェーンに関する体系的知識
- ロジスティックに関する体系的知識
EPA活用のための基本的な流れ
EPA活用手続の基本的な流れ図です。これらは、前ページに掲げた前提となる知識に基づいて行う必要があります。
- ステップ1
- 取引先の国は、EPAが締結されている国なのか
- ステップ2
- 取引品目の関税分類番号(HSコードの特定)の特定
- ステップ3
- 通常適用されるMFN税率とEPA協定による特恵税率の確認
- ステップ4
- 原産地規則を満たしているかの確認
- ステップ5
- 原産地証明の手続の確認と準備
(経済産業省資料を基に作成)
EPAビジネス実務検定のリーフレット
2020年2月より実施されるこの検定試験の全貌がひと目でわかります。
簡単なアンケートに答えるだけで、PCでもスマートフォンでもすぐにご覧いただけます。PDFファイルもダウンロード出来ます。
まだ日本では数少ないEPAの専門家になるキッカケになるかもしれません。